肌トラブル・ニキビ
頬杖・枕・マスク、摩擦でニキビはできる?
頬杖、枕カバー、マスクは同じ場所をこすり続けます。繰り返される摩擦はニキビを悪化させ(アクネ・メカニカ)、バリア機能を弱めます。そのゆるめ方をお話しします。
頬杖をつく場所、いつも枕に押しつけている側の頬、一日中マスクで覆われているところ。そこにばかりニキビができるのは、偶然ではありません。くり返される摩擦と圧迫は、まさにその場所でニキビを悪化させ(「アクネ・メカニカ」と呼ばれます)、その部分のバリア機能を少しずつ弱めていきます。だから答えは、新しいアクティブ成分ではありません。摩擦をゆるめ、こすれる場所のバリア機能を守ることです。
決まった場所にばかりニキビができることがあります。あご、片側の頬、マスクの紐が当たるラインなどです。たいていそこは、何かが何度も触れ、押しつけられている場所です。
なぜ摩擦がニキビを育てるのか
圧迫、摩擦、こすれといった物理的なストレスは、それが起きているまさにその場所でニキビを悪化させます。これは「アクネ・メカニカ」と呼ばれるパターンです(Mills & Kligman, 1975)。くり返されるストレスは、目に見えないほど小さな微小コメドを壊し、それが炎症性のニキビへと育っていきます。頬杖、いつも同じ側を下にして眠ること、一日中のマスク。どれも同じしくみで働きます。
マスクでニキビが悪化する理由
マスクは、摩擦の上に密閉とこもった湿気を重ねます。マスクで覆われた肌では、経表皮水分蒸散量(TEWL)と、毛穴の大きさや赤みの揺らぎが大きくなりました。バリア機能が不安定になっているサインです(Miyamoto et al., 2022)。密閉された部分では、熱、湿度、摩擦、そして変化した常在菌のバランスがからみ合い、ニキビにつながります(Rathi & Dsouza, 2022)。心強いのは、同じ研究のなかで、保湿によってその揺らぎが元の状態に戻ったことです(Miyamoto et al., 2022)。
バリア機能が弱るとニキビをくり返す理由
摩擦と密閉がくり返される場所では、バリア機能がゆらぎ、TEWLが大きく上下します(Miyamoto et al., 2022)。長時間マスクをつけた肌で、TEWLの日内変動が大きくなったのが、そのサインです。バリア機能がゆらいだ場所では、同じ摩擦でも刺激として積み重なりやすくなります。バリア機能の落ち込みがどうニキビを育てるのかは肌のバリアが崩れるとニキビができる理由で、乾燥と皮脂の関係は乾燥した肌ほど皮脂が増える理由でお話ししています。
摩擦をどう減らし、こすれる場所のバリア機能をどう守るか
出発点はアクティブ成分ではなく、習慣です。頬杖を減らし、枕カバーをこまめに替え、寝る向きを変えて片側だけが押しつけられないようにしてください。心地よくフィットするマスクを選び、安全な場所ではマスクを外す時間をつくってください。すでに疲れている場所には、やさしい洗顔と、セラミド+パンテノール(保湿成分)の保湿でバリア機能を守ります。マスクの下のように刺激を受けやすい場所ほど、強いアクティブ成分をゆるめ、代わりにバリアそのものの材料を補い直すことが助けになります(Miyamoto et al., 2022; Rathi & Dsouza, 2022)。回復にどのくらいかかるかはバリア機能の回復にかかる時間でお話ししています。
まとめると、触れる場所をまず休ませる
肌は、押され、こすられる場所からいちばん先に疲れていきます。圧迫と摩擦はその場所のニキビを悪化させ(Mills & Kligman, 1975)、マスクのように密閉が加わるとTEWLが大きく上下します(Miyamoto et al., 2022)。上から何かをもう一つ足す前に、そこに何が触れ続けているのかを見てみてください。頬杖・枕・マスクのように触れる摩擦をゆるめ、セラミド+パンテノールの保湿でその場所のバリア機能を守ってください。
今日の一歩
- 頬杖や、いつも同じ側を押しつけて眠る習慣を減らしてください。 圧迫と摩擦は、その場所のニキビを悪化させます(Mills & Kligman, 1975)。跡が片側の頬にかたよっていないか、朝、同じ側にだけ圧迫の跡が残っていないかを、いま鏡で確かめてください。習慣を減らしてもニキビが広がり続けたり、痛んで化膿したりするなら、皮膚科を受診してください。
- 心地よくフィットするマスクを選び、安全な場所ではマスクを外す時間をつくってください。 密閉が新しい炎症性の病変をつくるまでにかかった期間は2週間でした(Mills & Kligman, 1975)。判断もそのくらいは置いてからにしてください。2週間たっても新しいニキビが増え続けるなら、皮膚科を受診してください。
- 刺激を受けている場所には強いアクティブ成分を使わず、やさしい洗顔とセラミド+パンテノールでバリア機能を守ってください。 マスクで大きくなったTEWLの揺らぎは、保湿剤で元の状態に戻りました(Miyamoto et al., 2022)。強い成分を外した日を書きとめ、1週間後にその場所の熱っぽさが軽くなったかを見てください。変わらない、またはじゅくじゅくしてきたら、皮膚科を受診してください。
よくある質問
参考文献
- Mills OH, Kligman A. (1975). "Acne mechanica." Archives of Dermatology, 111(4), 481–483.
- Miyamoto K, et al. (2022). "Enhanced Fluctuations in Facial Pore Size, Redness, and TEWL Caused by Mask Usage Are Normalized by the Application of a Moisturizer." Journal of Clinical Medicine, 11(8), 2121.
- Rathi SK, Dsouza JM. (2022). "Maskne: A New Acne Variant in Covid-19 Era." Indian Journal of Dermatology, 67(5), 552–555.
この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断・治療に代わるものではありません。