保湿・バリア機能
傷んだ肌のバリア機能、回復にはどれくらいかかる?
傷んだ肌は数日でバリア機能を取り戻しますが、表面がすっかり入れ替わるには4週間ほどかかります。週ごとの回復の流れと、それを遅らせるものを見ていきます。
一度乱れたバリア機能は数日のうちにかなり戻りますが、肌の表面全体が入れ替わるには数週間かかります。早く戻そうとアイテムを足すより、バリア機能をふたたび乱す刺激を先に減らしましょう。肌は28日で入れ替わる、とよく耳にします。ただ、バリア機能の回復は進む速さの違う2つの過程に分けると、かかる時間が見えてきます。
バリア機能は何日で戻るのでしょうか
バリア機能は思ったより早く戻ります。バリア機能が乱れると、肌はコレステロール・脂肪酸・セラミド(保湿成分)を新しく作り、ためておいた脂質を送り出して角層のすき間を埋めると考えられています(Feingold, 2009)。すき間がどれくらい開いているかは、経表皮水分蒸散量(TEWL)で測ります(Kottner et al., 2013)。若い肌のバリア機能は24時間で約50%、72時間で約80%まで戻りました。(Ghadially et al., 1995)この研究が測ったのはバリア機能で、つっぱりやヒリヒリが消える日までは測っていません。一度だけ乱した実験なので、刺激が続く肌でも同じ速さとは言えません。
肌の表面が入れ替わるには、どれくらいかかるのでしょうか
肌の表面が新しいキメに入れ替わるには、バリア機能よりずっと長い時間がかかります。表皮の底で生まれた細胞が角層まで上がってはがれ落ちるまでをひと巡りとすると、よく言われるのは28日です。しかし計算上は、表皮全体がひと巡りするには約47〜48日かかります。(Iizuka, 1994)ざらついたキメが数日でなめらかになることはありません。キメがすぐに変わらなくてもアイテムを替えず、刺激を減らした状態を続けましょう。
回復に時間がかかる人がいるのはなぜでしょうか
回復を遅らせる大きな要因は、年齢とくり返す刺激です。80歳を超えた人では、バリア機能が24時間で約15%しか戻らず、その後の6日間も遅れが続きました(Ghadially et al., 1995)。年齢を重ねた肌は脂質、とくにコレステロールを作る速さが落ちることが知られています(Zettersten et al., 1997)。洗浄力の強い洗顔料は、戻りかけているバリア機能をふたたび乱すことがあります。洗浄料は角層のたんぱく質と脂質を一緒に洗い流すことがあるためです(Ananthapadmanabhan et al., 2004)。角質ケアも同じ理由で控えるようによく勧められますが、回復にかかる期間への影響を測った研究は見つけられませんでした。
保湿剤でバリア機能は早く戻るのでしょうか
コレステロールをほかの脂質それぞれの3倍にした混合物は、年齢を重ねた肌のバリア機能を早く戻しました。(Zettersten et al., 1997)研究用の混合物なので、市販の保湿剤や若い肌で同じ結果が確かめられたわけではありません。ナイアシンアミドとパンテノール(保湿成分)が脂質作りをどう支えるかは、ナイアシンアミドとパンテノールがバリア機能を一緒に支える理由をご覧ください。
まとめると、バリア機能は「数日」と「数週間」の2つの速さで戻ります
乱れたバリア機能は、まず脂質を満たし直して働きを取り戻し、表皮のターンオーバーはその後も長く続きます。表皮全体のひと巡りは、計算上47〜48日です(Iizuka, 1994)。年齢は変えられませんが、くり返し加わる刺激は減らせます。肌がつっぱってヒリヒリするときは、新しいアイテムを足さずに、洗顔と角質ケアを先に減らしましょう。回復中にアイテムを頻繁に替えると、どれが刺激なのか見分けにくくなるので気をつけましょう。
今日できること
- 洗浄力の強い洗顔料と角質ケアのどちらかを、今日から休みましょう。洗浄料は角層のたんぱく質と脂質を洗い流すことがあります(Ananthapadmanabhan et al., 2004)。洗顔直後のつっぱりやヒリヒリが前より軽いか、その場で比べてください。じゅくじゅくする、ひび割れる、赤みが広がるときは皮膚科を受診してください。何から減らすか迷ったら、スキンケアに10ステップはいらない理由をご覧ください。
- 保湿剤の全成分に、セラミド・コレステロール・脂肪酸がそろって入っているか確かめましょう。年齢を重ねた肌では、コレステロールの比率を高めた脂質混合物がバリア機能を早く戻しました(Zettersten et al., 1997)。塗った直後にしみなければ、そのまま使い続けてください。塗るたびにしみたり赤くなったりするなら、そのアイテムはやめましょう。ラベルのセラミド名はNP・AP・EOPという記号が指すものをご覧ください。
長いあいだ、私は回復を待つことができませんでした。数日たっても変化がないと、もっと強いものを重ねてしまい、やっと戻りかけていたキメがまた崩れる。時計を速めようとしてやったことは、どれも毎回、時計をゼロに戻していたのです。刺激を取り除いて2週間ゆだねるようになって、はじめて私の肌は自分のペースを取り戻しました。
よくある質問
参考文献
- Ghadially, R., Brown, B. E., Sequeira-Martin, S. M., Feingold, K. R., & Elias, P. M. (1995). "The aged epidermal permeability barrier: structural, functional, and lipid biochemical abnormalities in humans and a senescent murine model." Journal of Clinical Investigation, 95(5), 2281–2290.
- Iizuka, H. (1994). "Epidermal turnover time." Journal of Dermatological Science, 8(3), 215–217.
- Kottner, J., Lichterfeld, A., & Blume-Peytavi, U. (2013). "Transepidermal water loss in young and aged healthy humans: a systematic review and meta-analysis." Archives of Dermatological Research, 305(4), 315–323.
- Ananthapadmanabhan, K. P., Moore, D. J., Subramanyan, K., Misra, M., & Meyer, F. (2004). "Cleansing without compromise: the impact of cleansers on the skin barrier and the technology of mild cleansing." Dermatologic Therapy, 17(Suppl 1), 16–25.
- Zettersten, E. M., Ghadially, R., Feingold, K. R., Crumrine, D., & Elias, P. M. (1997). "Optimal ratios of topical stratum corneum lipids improve barrier recovery in chronologically aged skin." Journal of the American Academy of Dermatology, 37(3), 403–408.
- Feingold, K. R. (2009). "The outer frontier: the importance of lipid metabolism in the skin." Journal of Lipid Research, 50(Suppl), S417–S422.
この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断・治療に代わるものではありません。