保湿・バリア機能
男性の肌は厚いのに、なぜ荒れやすい?
男性の顔の肌は女性より厚く皮脂も多いのに、表面から失われる水分はむしろ多いのです。シェービングは、多くの男性にとってバリアの回復をもっとも頻繁に中断させるもの。答えはたいてい、強いアイテムではなくタイミングにあります。
男性の顔の肌は女性より厚く皮脂も多いのに、表面から失われる水分はむしろ多いとされています(Rahrovan et al., 2018)。髭剃りの摩擦を減らし、剃った直後に保湿してください。週に何度も刃が表面を通ると、バリアが回復を終える時間が足りなくなることがあります。そこで、より鋭い刃やアルコールの強いアフターシェーブ、ぶつぶつ用のスクラブのように「もっと強いもの」に手を伸ばすと、回復途中の表面に刺激が重なります。
男性の肌は、本当に女性より厚いのでしょうか
はい。しかも、測定できるかたちでいくつもの違いがあります。肌の生物物理学的な研究をまとめたレビューによれば、男性は肌の厚みが大きく、皮脂の分泌量も多い。加えて、表面のpHは女性より低い(より酸性寄り)とされています(Rahrovan et al., 2018)。
どれも、構造としては有利に聞こえます。経表皮水分蒸散量(TEWL)とは、表面から逃げていく水分の量であり、バリアがどれだけしっかり閉じているかを測る標準的な指標です。けれど同じレビューは、TEWLが男性では低いどころか高いと報告しています。厚くて皮脂の多い表面が、そのままよく閉じたバリアであるとは限りません。
シェービングは、なぜこれほど肌を刺激するのでしょうか
カミソリは毛を切るだけでなく、角層のいちばん外側まで削り取ることがあります。培養皮膚モデルでは、乾いたまま一度剃るだけで水分の喪失がすぐに増えました(Costello et al., 2023)。角層が傷ついたモデルでは、TNFα、IL-1β、IL-8といった炎症のシグナルが上がり、表皮が厚くなりました。
培養皮膚モデルでは、角層が傷ついたあと水分の喪失がもとの値に戻るまでに約4日かかりました。実際の顔でも同じなら、2〜3日おきの髭剃りでは、前回のダメージが落ち着く前に次を剃ることになります。これは実際の顔ではなく実験室の皮膚モデルなので、4日という数字は「だいたいそのくらい」の目安として受け取ってください。
シェービングフォームや剃ったあとの保湿は、本当に役に立つのでしょうか
同じ研究では、カミソリを走らせる前にシェービングフォームを塗ると、水分の喪失は剃っていない皮膚に近い水準にとどまり、表皮の肥厚も減りました。角層が傷ついたあとに保湿剤を塗ると、炎症のシグナルと表皮の肥厚が減りました(Costello et al., 2023)。培養皮膚モデルでは、シェービングフォームは髭剃りで増える水分の喪失を減らし、保湿剤は角層が傷ついたあとの炎症のシグナルを減らしました。
この研究はシェービング製品のメーカーが資金を出し、その会社の社員が著者に加わっています。ほかの製品とは比べておらず、人を対象にした臨床試験でもありません。
カミソリ負けのぶつぶつやニキビは、なぜくり返すのでしょうか
この輪が、自分で自分を回しつづけているからです。乱れたバリアは水分を失い、毛穴のまわりの乾いて炎症を抱えた肌は、埋もれ毛や髭剃り後のニキビを招きやすいと考えられています。すると今度は、そのぶつぶつが角質ケアや、より深く剃ることを呼び込み、バリアがまた開かれてしまう。
同じループは、肌がくり返し摩擦を受けるところならどこにでも現れます。襟、マスク、枕。摩擦が続くと、バリアを支える成分を塗っても効果を感じにくいことがあります。皮脂が多いことも、この点では守りになりません。皮脂の多い肌でも内側は乾いていることがあります。詳しくは脂性肌なのに内側が乾く理由をご覧ください。
つまり、シェービングは身だしなみではなくバリア機能の問題です
男性の肌は厚く皮脂が多くても、水分の喪失はより多いとされています(Rahrovan et al., 2018)。培養皮膚モデルでは角層が傷ついたあと水分の喪失が戻るまでに約4日かかったので(Costello et al., 2023)、頻繁な髭剃りは回復を何度も振り出しに戻すことがあります。バリアが傷ついたあとのつっぱりやヒリヒリが落ち着くまでの時間は、バリアの回復にかかる時間をご覧ください。
シェービングフォームなどで髭剃りの摩擦を減らし、剃った直後に保湿剤を塗ってください。新しいアクティブ成分を足したり角質をこすったりすると、回復途中の肌に刺激が重なることがあるので気をつけてください。
今日できること
- 剃る回数を減らすか、少しだけ浅めに剃ってください。 培養皮膚モデルでは、角層が傷ついたあと水分の喪失が戻るまでに約4日かかりました(Costello et al., 2023)。毎日剃っているなら、2週間だけ1日おきに変えて、ぶつぶつが落ち着くかを見てください。膿をもったできものが増え続けるなら、皮膚科を受診してください。
- 剃る前に髭を水で濡らし、フォームやジェルでカミソリがなめらかに滑るようにしてください。 培養皮膚モデルでは、シェービングフォームは乾いたままの髭剃りより水分の喪失を減らしました(Costello et al., 2023)。剃った直後のほてりが軽くなったかを見てください。ほてりや赤みが数日続くなら、皮膚科を受診してください。
- 剃った直後、肌がまだ湿っているうちに、セラミド(保湿成分)やグリセリンを含む無香料の保湿剤を塗ってください。 培養皮膚モデルでは、角層をはがしたあとに塗った保湿剤が炎症のシグナルを減らしました(Costello et al., 2023)。翌朝、つっぱりやヒリヒリが減ったかを見てください。肌がヒリつく日はアルコールベースのアフターシェーブを飛ばし、ヒリヒリが数日続くなら皮膚科を受診してください。
塗るものほとんどすべてに肌が反応するなら、アイテムより先にシェービングのやり方を見直してください。詳しくは何を塗ってもヒリヒリして赤くなる肌の理由をご覧ください。
よくある質問
参考文献
- Rahrovan, S., Fanian, F., Mehryan, P., Humbert, P., & Firooz, A. (2018). "Male versus female skin: What dermatologists and cosmeticians should know." International Journal of Women's Dermatology, 4(3), 122–130. PMID 30175213
- Costello, L., Goncalves, K., Maltman, V., Barrett, N., Shah, K., Stephens, A., Dicolandrea, T., Ambrogio, I., Hodgson, E., & Przyborski, S. (2023). "Development of a novel in vitro strategy to understand the impact of shaving on skin health: combining tape strip exfoliation and human skin equivalent technology." Frontiers in Medicine, 10, 1236790. PMID 38020123
この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断・治療に代わるものではありません。