トーン・シミ

トラネキサム酸とビタミンC、肝斑に選ぶならどちら?

トラネキサム酸はメラニンをつくる合図(プラスミン経路)を静め、ビタミンCはチロシナーゼの働きをゆるめて抗酸化で支えます。肝斑に合うのはどちらか、選び方を。

肝斑のケアでは、「より強いほう」を探すよりも、この二つが違う道すじで働くことを知っておくと、自分の肌に必要なほうを選びやすくなります。トラネキサム酸は、メラニンをつくるよう肌に伝える合図(プラスミン経路)を静めます(Maeda, 2022)。ビタミンCは、メラニンをつくる酵素(チロシナーゼ)の働きをゆるめ、抗酸化の面から支えます(Telang, 2013)。手ごわい肝斑については、エビデンスはトラネキサム酸に傾いています。一方でビタミンCはより穏やかで、肌全体のトーンに広く働きかけます。

肝斑がなかなか落ち着かないとき、つい「もっと強いブライトニング」に手が伸びます。けれど、トラネキサム酸とビタミンCが狙う場所は違います。その違いをひもとくことが、自分の肝斑にどちらが合うのかを見きわめる手がかりになります。

トラネキサム酸は肝斑にどう働くのでしょう

肝斑は、色素細胞がくり返し刺激されることで生まれます。トラネキサム酸は、その刺激の道すじの一つをふさぎます。肌の細胞から放出されるプラスミンの活性を抑え、メラノサイトを促す合図や、炎症・血管に関わるメディエーターの働きを弱めるのです(Maeda, 2022)。紫外線と炎症で揺らぎやすい肝斑に、もっとも強いエビデンスが集まっているのはそのためです。内服トラネキサム酸は複数の試験で肝斑の改善が報告されており、外用のかたちは補助として用いられています(Kim & Lim, 2022)。トラネキサム酸は、すでにできたメラニンをどうにかするものではありません。「もっとつくれ」という合図そのものを静めます。

ビタミンCはどう働くのでしょう

ビタミンC(アスコルビン酸)は、別の道すじをたどります。メラニンを組み立てる酵素であるチロシナーゼの働きをゆるめます。抗酸化の作用で紫外線が残していく酸化ストレスをやわらげて、色素が濃くなる方向へ傾くのを穏やかにします(Telang, 2013)。一か所のシミだけでなく、全体のくすみやトーンにも役立ち、気軽に始められる穏やかさがあります。肝斑で5%のビタミンCとハイドロキノンを比べた試験では、見た目の改善はハイドロキノンのほうが多かったものの(62.5%対93%)、色を測った値には差がなく、刺激を訴えた人はビタミンCのほうがずっと少ないものでした(6%対69%)(Espinal-Perez et al., 2004)。ビタミンCは、色素をつくる酵素の働きをゆるめながら、紫外線が残す酸化も静めていきます。

結局、肝斑にはどちらがいいのでしょう

どちらか一方に軍配を上げるのは難しいところです。長く居座る手ごわい肝斑にはエビデンスがトラネキサム酸に傾きます(とくに内服は処方の領域です)。ビタミンCはより穏やかで、トーンや光老化の予防といった広い範囲を支えます。狙う場所が違うので、選び方は状況で分かれます。長く続く肝斑ならトラネキサム酸へ、ゆらぎやすい肌のトーンを整えたいならビタミンCへ。なぜシミの種類によって振る舞いが違うのかは、シミの種類と紫外線で書いています。肝斑には「より強い成分」ではなく、自分の肝斑に合う成分を選んでください。

「より強い成分」に手を伸ばす前に

紫外線は肝斑を引き起こし、悪化させます(Ogbechie-Godec & Elbuluk, 2017)。毎日の日焼け止めがなければ、トラネキサム酸もビタミンCも本来の役割を果たせません。両方を一度に強く重ねるよりも、どちらか一つを選んで数か月ていねいに続けるほうが、肌への負担は少なくなります。ビタミンCを比べた試験も16週間塗っています(Espinal-Perez et al., 2004)。ブライトニング成分全体の読み方は、色素にほんとうに働きかけるものにまとめました。肝斑には毎日の日焼け止めを先に行い、トラネキサム酸かビタミンCのどちらかを選んで続けてください。

小さな一歩

  • 何を塗るにしても、朝の日焼け止めから始めてください。紫外線は肝斑を引き起こし、悪化させます(Ogbechie-Godec & Elbuluk, 2017)。1週間で塗った日を数え、抜けた日があればそこから埋めてください。日焼け止めを続けていても肝斑が広がる場合は、皮膚科を受診してください。
  • トラネキサム酸かビタミンCのどちらかを選び、数か月続けてください。5%のビタミンCを塗った試験では、刺激を訴えた人は6%でした(Espinal-Perez et al., 2004)。ビタミンCがしみるときは、朝に低い濃度で薄く塗り、しみ方がやわらぐかを確かめてください。しみや赤みが続くなら、使うのをやめてください。
  • 長く続く肝斑が数か月たっても薄くならないときは、皮膚科を受診してください。内服トラネキサム酸は複数の試験で肝斑を改善していますが(Kim & Lim, 2022)、韓国では医師の処方が必要です(日本の基準は未確認)。同じ明かりで撮った写真を数か月前と比べると、薄くなったかがわかります。

よくある質問

トラネキサム酸とビタミンCは一緒に使えますか?
狙う場所が違うので、組み合わせて使えます。ただし最初から両方を強く重ねるよりも、一つずつ取り入れるほうが刺激の様子を見きわめやすくなります。
内服のトラネキサム酸と外用では違いますか?
違います。内服のトラネキサム酸は肝斑に対して強いエビデンスがありますが、処方と医師の指導が必要です。外用のかたちはより穏やかで、補助として使われます。
ビタミンCが刺激に感じます。
濃度を下げ、朝に薄く塗り、より穏やかな誘導体から始めてみてください。開封後に酸化して茶色く変わった製品はしみやすくなることがあるので、状態も確かめてみましょう。
違いを感じるまでどのくらいかかりますか?
色素はゆっくり落ち着いていきます。ビタミンCを比べた試験も16週間塗っています(Espinal-Perez et al., 2004)。日焼け止めと合わせて、数か月は続けてください。

参考文献

  1. Maeda K. (2022). "Mechanism of Action of Topical Tranexamic Acid in the Treatment of Melasma and Sun-Induced Skin Hyperpigmentation." Cosmetics, 9(5), 108. (DOI 10.3390/cosmetics9050108)
  2. Kim KM, Lim HW. (2022). "The uses of tranexamic acid in dermatology: a review." International Journal of Dermatology. (DOI 10.1111/ijd.16160)
  3. Telang PS. (2013). "Vitamin C in dermatology." Indian Dermatology Online Journal, 4(2), 143–146. (PMID 23741676)
  4. Espinal-Perez LE, Moncada B, Castanedo-Cazares JP. (2004). "A double-blind randomized trial of 5% ascorbic acid vs. 4% hydroquinone in melasma." International Journal of Dermatology, 43(8), 604–607. (PMID 15304189)
  5. Ogbechie-Godec OA, Elbuluk N. (2017). "Melasma: an Up-to-Date Comprehensive Review." Dermatology and Therapy, 7(3), 305–318. (DOI 10.1007/s13555-017-0194-1, PMCID PMC5574745)

この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断・治療に代わるものではありません。

Naeun Kim

Naeun Kim

創業者・韓国MFDS認定 オーダーメイド化粧品調製管理士

始まりは、選ぶ成分を間違えて自分の肌を崩してしまったことでした。そこから肌が落ち着いていく過程で学んだことをもとに、肌バリアのケアを中心に据えて、自分の手で調製し、設計しています。足りないものを埋めて別の肌にするのではなく、あなたなりの最適点で、肌がもともと持つ働きを目覚めさせる一本をつくります。

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