brightening
明るく見せるケアだけでは、シミの印象が変わらないのはなぜ?
明るく見せるケアでシミの印象が変わらないときは、種類と原因を見誤っているのかもしれません。肝斑・老人性色素斑・炎症後色素沈着の違いと、紫外線をさえぎ刺激を減らすことの意味をお話しします。
明るく見せるケアを続けてもシミの印象が変わらないとき、いちばん考えられるのは、色素の種類と原因を見誤っていることです。茶色い色素には、いくつかの種類があります。肝斑(ホルモンと紫外線)、そばかす(遺伝的な体質と紫外線)、老人性色素斑(紫外線の蓄積)、そして炎症後色素沈着(刺激)――そのすべてに共通する原因は、紫外線です。さらに、こすったり強い酸(ビタミンC、AHA・BHA)を重ねたりすると肌に刺激が加わり、その刺激が色素を濃くしていきます。だからこそ、明るく見せる成分をより強く重ねるよりも、毎日紫外線をさえぎり、刺激をやわらげ、根拠のある成分を少量ずつ取り入れるほうが、確かな道になります。
「明るく見せるのによい」とされるアイテムをいくつも試したのに変わらないとき、多くは方法ではなく、向かっている方向がずれています。
シミの色素は、どれも同じものなのか
茶色い色素は、それぞれ根っこが違います。肝斑はホルモンと紫外線がからみ合って、頬や額に左右対称に広がり、なかなか薄く見えてこない性質があります(Ogbechie-Godec & Elbuluk, 2017)。そばかすは、遺伝的な体質に紫外線が重なって子どもの頃からあらわれる小さな薄茶色の斑で、日差しの強い時期に濃くなり、冬にはやわらぐのが特徴です。
老人性色素斑は、紫外線の蓄積によって年齢とともにあらわれる、輪郭のはっきりした茶色い斑です。いわゆる「年齢によるシミ」と呼ばれるものにあたります(Fisher et al., 2002)。炎症後色素沈着(PIH)は、ニキビや刺激が通り過ぎたあとに残る色素で、炎症がメラニンをつくらせることで生まれます(Davis & Callender, 2010)。種類ごとに原因も深さも違うので、必要なケアもそれぞれ変わってきます。
ひとつ補足を。触れると盛り上がってざらつく「シミ」は、多くの場合、脂漏性角化症です。色素ではなく良性のできものにあたるため、明るく見せる成分では変わらず、取り除くのは皮膚科の処置になります。
シミに共通する原因は何か
種類は違っても、ひとつだけ共通するものがあります。紫外線はメラニンをつくらせ、色素を濃くし、また表に呼び戻します。だからどの色素であっても、いちばん確かな一歩は毎日の紫外線対策です。どれほど優れた成分でも、紫外線をそのままにしていれば、色素はつくられ続けます。
強い成分を使えば、シミは早く薄く見えるのか
ここが見落とされやすいところです。早く変えたくてこすったり、強い酸(ビタミンC、AHA・BHA)を重ねたりすると刺激が生まれ、その刺激が色素を呼び戻してしまいます(Davis & Callender, 2010)。とくに肝斑は刺激に敏感で、がんばるほど濃くなってしまうことも少なくありません。刺激をやわらげることは、明るく見せる成分を足すことと同じくらい大切です。
では、シミにはどうケアすればいいのか
まずは毎日、紫外線をさえぎること。次に、こすることや強い刺激を減らし、肌バリアを支えて炎症を抑えること。最後に、根拠のある成分を少量から取り入れること。ナイアシンアミドは、やさしくて裏づけのある一例です。どの成分にどれだけの根拠があるかは明るく見せる成分ガイドにまとめています。紫外線対策と刺激を減らすことは、どんな成分よりもあとではなく、先に来ます。ニキビがあとを残すしくみはニキビ跡、赤みと茶色の違いで、目の下の色素はくま、色素型と血行型でお話ししています。
色素を落とそうとするか、原因をやわらげるか
色素をこすって落とそうとするほど、刺激は重なり、色素は長くとどまります。それを呼び寄せているもの――紫外線と刺激――をやわらげていけば、肌は時間をかけて、自分のペースでその跡を手放していきます。私たちが最初にすべきなのは、シミを取り去ることではなく、シミを呼び戻し続けているものを取りのぞくことです。肌を無理に変えようとするのではなく、肌が自分で明るさを取り戻していくときのキメを、そっと支えていきます。
今日から試せる一歩
- どの色素であっても、日中の紫外線対策は欠かさないでください。いちばん確かな一歩です。
- 早く変えたくてこすったり、強い酸(ビタミンC、AHA・BHA)を重ねたりしないでください。刺激をやわらげるだけでも、色素が濃くなる道のひとつをふさぐことができます。
- 根拠のある成分(ナイアシンアミドなど)は低い濃度から、ゆっくり取り入れます。
- 肝斑のように広く左右対称に出ている色素や、盛り上がったシミ(脂漏性角化症)は、皮膚科の受診も検討してください。
よくある質問
参考文献
- Ogbechie-Godec OA, Elbuluk N. (2017). "Melasma: an Up-to-Date Comprehensive Review." Dermatology and Therapy, 7(3), 305–318.
- Fisher GJ, et al. (2002). "Mechanisms of Photoaging and Chronological Skin Aging." Archives of Dermatology, 138(11), 1462–1470.
- Davis EC, Callender VD. (2010). "Postinflammatory hyperpigmentation: a review of the epidemiology, clinical features, and treatment options in skin of color." Journal of Clinical and Aesthetic Dermatology, 3(7), 20–31.
この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断・治療に代わるものではありません。