moisture & barrier

毎日保湿しているのに肌が乾燥するのはなぜ?

季節の変わり目になると、いつも同じことが起こります。回数を増やし、ていねいに保湿しているのに、午後にはまた肌がつっぱる。そこでたいてい、もっとリッチなクリームに手が伸びます。

けれど保湿しているのに乾きを感じるとき、問われているのはたいていどれだけ塗るかではありません。なぜ水分が留まらないのか。保湿がうまく働かない4つの理由と、変えるべきことをまとめました。

1. 保湿剤が、仕事の半分しかしていない

保湿とは、じつは三つの異なる仕事のことです。

ヒューメクタント(水分を抱える成分)は水分を引き寄せます。ヒアルロン酸、グリセリン、パンテノールなど。

エモリエントは細胞のすきまをなめらかに満たします。スクワラン、セラミド、脂肪酸、コレステロールなど。

オクルーシブ(密閉成分)は膜となってふたをします。ワセリン、ミネラルオイル、ミツロウなど。

ヒューメクタントだけの軽い製品は、裏目に出ることがあります。乾いた空気のもとでは、引き寄せた水分をそのまま蒸発させてしまうのです(Purnamawati et al., 2017)。水分を引き寄せることと、そこに留めておくことは、別の仕事です。片方だけでは、半分の仕事にしかなりません。

一度見てみてください。お使いの保湿剤は、ヒューメクタントだけでしょうか。それとも、セラミドやスクワランのように水分を留めるものも入っているでしょうか。

2. コップに穴が空いているのかもしれない

どれだけ注いでも、底のそばに穴が空いていれば、コップはすぐ空になります。肌も同じです。経表皮水分蒸散量(TEWL)は、肌の表面から水分が出ていく量をあらわす指標です(Kottner et al., 2013)。バリアが傷んでいると、その流出は速くなり、与えた以上の水分が逃げていきます。

だから保湿を足す前に、まず穴をふさぐ。順番はそちらが先です。(TEWLについては水分はどこへ逃げていくのかで詳しく書いています。)

3. タイミングと環境が合っていない

タイミング——完全に乾いた肌に塗ると、表面の水分はすでに失われていて、留めるものがほとんど残っていません。洗顔後2分以内、肌がまだ湿っているうちのほうがうまくいきます。

環境——乾燥する季節に室内の湿度が30%を下回ると、同じ保湿剤でも手ごたえが弱く感じられます。40〜60%くらいに保つと違ってきます。

4. 洗いすぎ、削りすぎかもしれない

強い洗顔料や、一日三回を超える洗顔は、肌表面の脂質を洗い流してしまいます。洗顔料のpHが、肌本来の弱酸性(pH 4.5〜5.5)から高く離れるほど、その代償は大きくなります。

熱いお湯は肌の脂質構造をゆるめ、水分の流出を進めます。32〜34℃ほどのぬるま湯のほうが、肌にはやさしい選択です(Herrero-Fernandez et al., 2022)。

毎日のAHA・BHAや物理的なスクラブは角質層を薄くし、そもそも水分を抱えられる量を減らしてしまいます。

片方の手で水分を与えながら、もう片方の手でそれを削り落としている——そんなことが、しばしば起こります。

保湿とは、満たすことではなく、保つこと

肌が乾いたままのとき、私たちはたいてい「あと何を足すか」を考えます。けれど四つの理由に照らすと、問いはひとりでに裏返ります。水分が留まらないのは、何が邪魔をしているからなのか。

肌はもともと、水分を抱え、自らを立て直す力を備えています。乾燥は、足りない成分があるから起こるというより、その本来の働きがリズムを見失っていることのほうが多いのです。だから答えは、より重いクリームであることはめったにありません。バリアが自分の仕事を取り戻せるよう、手を添えることです。

同じひと瓶のクリームでも、漏れているコップの中では跡形もなく消えていき、リズムを取り戻した肌の上では、長く残ります。だから役に立つ問いは、今日何層重ねたかではなく、その水分を肌が自分で抱えていられるかどうかです。

乾燥する季節ほど、足したくなります。けれど足すことが裏目に出る地点があります。負担を一つか二つ減らすほうが、製品を増やすより早く効くこともあるのです。

今日試せること

  • お使いの保湿剤の成分表を、一度読んでみる。ヒューメクタントと一緒に、セラミドやスクワランのように水分を留めるものが入っているでしょうか。
  • 洗顔後2分以内、肌がまだ湿っているうちに塗ってみる。
  • 今週は一つだけ減らしてみる。熱いお湯での洗顔か、角質ケアか。空いた余白のなかで肌がどう落ち着いていくかを見てみる価値があります。

セラミド、コレステロール、脂肪酸をおよそ3:1:1という肌本来の比率に近づけた保湿剤は、バリアの回復を支えることが知られています(Zettersten et al., 1997)。選ぶときの、一つの手がかりに。

次のひと瓶を空にする前に、少し立ち止まってみてください。今日の手当ては、肌を水分で満たすためのものでしたか。それとも、肌が自分の水分を保てるように手を添えるためのものでしたか。

よくある質問

保湿剤を変えても乾燥が続きます。皮膚科を受診したほうがいいですか?
まずは手近なところから。保湿剤の設計(ヒューメクタントだけか、オクルーシブやエモリエントも組み合わさっているか)と、洗顔・角質ケアの習慣です。それでも乾燥やつっぱり、ヒリつきが続くなら、バリアのダメージがより深いところに及んでいる可能性があり、専門医に相談すると助けになります。
みずみずしいクリームと、こっくりしたクリーム。両方必要ですか?
大切なのは本数より役割です。一本の中でヒューメクタントと水分を留めるものが組み合わさっているなら、何層も重ねる必要がないことも多いのです。
たくさん、こまめに塗るほどいいのでしょうか?
塗る量よりも、水分が出ていく速さのほうが効いていることがよくあります。バリアが傷んでいれば、多く与えてもその分だけ速く抜けていきます。量を増やすよりも、流出を招いているもの——洗いすぎ、熱いお湯、頻繁な角質ケア——を減らすほうが、力になることがあります。
オイリー肌・混合肌ですが、それでもバリアが原因になりますか?
はい。漏れているバリアは、乾燥肌だけの話ではありません。オイリー肌や混合肌でも、表面はベタついたまま、弱ったバリアから水分が逃げていることがあります。だから順番は同じです。足す前に、流出をふさぐこと。その上に重ねるテクスチャーは軽くてかまいません。順番だけは変わりません。

参考文献

  1. Kottner, J. et al. (2013). "Transepidermal water loss in young and aged healthy humans: a systematic review and meta-analysis." Archives of Dermatological Research, 305(4), 315–323.
  2. Purnamawati, S. et al. (2017). "The Role of Moisturizers in Addressing Various Kinds of Dermatitis: A Review." Clinical Medicine & Research, 15(3–4), 75–87.
  3. Herrero-Fernandez, M. et al. (2022). "Impact of Water Exposure and Temperature Changes on Skin Barrier Function." Journal of Clinical Medicine, 11(2), 298.
  4. Zettersten, E. M. et al. (1997). "Optimal ratios of topical stratum corneum lipids improve barrier recovery in chronologically aged skin." Journal of the American Academy of Dermatology, 37(3), 403–408.

この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断・治療に代わるものではありません。

Naeun Kim

Naeun Kim

創業者・韓国MFDS認定 オーダーメイド化粧品調製管理士

始まりは、選ぶ成分を間違えて自分の肌を崩してしまったことでした。そこから肌が落ち着いていく過程で学んだことをもとに、肌バリアのケアを中心に据えて、自分の手で調製し、設計しています。足りないものを埋めて別の肌にするのではなく、あなたなりの最適点で、肌がもともと持つ働きを目覚めさせる一本をつくります。

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