moisture & barrier
洗顔料の選び方、ブランドではなく三つの基準で
いちばんの洗顔料はブランドではなく、その日の皮脂と日焼け止めを落としながら、肌本来の弱酸性の膜を残せるもの。pH、界面活性剤、洗浄力という三つの基準で選ぶ方法を。
いちばんの洗顔料は、特定のブランドではありません。その日の皮脂と日焼け止めを落としながら、肌がもともとまとっている弱酸性の膜は残してくれるものです。ですから製品名を覚えるより、洗顔料は三つの点で見きわめてください。どれくらい酸性か(pH)、何で洗うのか(界面活性剤)、どれくらい落とすのか(洗浄力)です。
「どの洗顔料がいいですか」と尋ねると、返ってくるのはたいてい製品名です。けれど同じ製品が、ある人には合い、ある人にはつっぱりを残します。答えはラベルではなく、基準のほうにあります。

いい洗顔料とは、どういうものでしょう
洗顔料の仕事は、見た目より単純です。その日の皮脂、ほこり、日焼け止めを落とすこと。ややこしくなるのは、肌がもともとまとっていたものまで一緒に奪ってしまうときです。ですからランキングを覚えるより、三つを見てください。どれくらい酸性か(pH)、何で洗うのか(界面活性剤)、どれくらい落とすのか(洗浄力)。洗顔料の仕事は何かを足すことではなく、肌のものを残したまま、その日の分だけを削ぎ落とすことです。
低pHの洗顔料は、本当に役に立つのでしょうか
健やかな肌の表面のpHは、平均して5を下回ります(Lambers et al., 2006)。この酸性の膜が水分をつなぎとめ、常在菌のバランスをおだやかに保ちます。強くアルカリ性の洗顔料——石けんはpH 9から10あたりです——は、その膜を一時的に乱します。洗ったあとに肌がつっぱって乾く理由は、ここにあります。弱酸性から中性の範囲にある洗顔料なら、肌バリアに求めるものが少なくてすみます。洗顔と肌バリア、そして水分が逃げていくことのつながりは経表皮水分蒸散量(TEWL)とは何かでお話ししています。洗ったあとにつっぱるなら、それは洗い足りなかったのではなく、pHが肌に合っていないサインであることが少なくありません。
界面活性剤は、なぜ大切なのでしょう
界面活性剤は、洗顔料が皮脂を水と一緒に運び去るための仕組みそのものです。けれど、その強さには大きな幅があります。SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)のような強いものは、肌の表面のたんぱく質やバリア脂質とも結びついて洗い流してしまい、バリア機能を弱めます(Ananthapadmanabhan et al., 2004)。いっぽう、ココイルグリシネートやコカミドプロピルベタインのようなアミノ酸系・両性の穏やかな界面活性剤は、汚れを持ち上げながら、肌バリアへの乱れを抑えてくれます。肌バリアへの負担を決めるのは、洗い上がりのきゅっとした感触ではなく、何で洗っているかです。
洗浄力は、強いほうがいいのでしょうか
きゅっとしたつっぱり感を洗浄力の証と読み取ってしまいがちですが、そのきゅっとした感触は、皮脂膜まで一緒に落ちたしるしかもしれません。必要な洗浄力は、その日、実際に顔にのっているものに合わせて決まります。日焼け止めや油性のメイクをした日は少し強めに、素肌の日はもっと軽く。強く洗いすぎると、肌は奪われた分を補おうとして皮脂を増やします。洗いすぎがなぜ皮脂を増やすのかは脂性肌ほど内側は乾いている理由で、しっかりメイクの日のオイルクレンジングやダブル洗顔はオイルクレンジングと毛穴の黒ずみでお話ししています。洗浄力は最大がいちばんなのではなく、その日落とすべきものにちょうど見合ったところがいちばんです。
では、洗顔料はどう選べばいいのでしょう
いちばんの洗顔料というものはありません。あるのは、あなたの肌と、その日洗う顔に合ったものだけです。弱酸性であること、穏やかな界面活性剤であること、そしてその日に必要なぶんだけの洗浄力であること。この三つがあれば、どんなブランドのランキングもなしに選べます。洗顔はスキンケアの最初の一歩であり、そのあとのすべてが乗る土台ですから、ステップを重ねる前に、洗うことそのものをやさしい削ぎ落としにしておく価値があります。ステップ全体を減らしていく話は10ステップのスキンケアが必要ない理由をご覧ください。いちばんいい洗顔は、いちばん強い洗顔ではなく、その日が残していったぶんだけを落とす洗顔です。

今日の小さな一歩
- ラベルの裏で、弱酸性かどうか、穏やかな界面活性剤(ココイル系、ベタイン系)かどうかを確かめる。
- 洗って5分以内に肌がつっぱるなら、もっと穏やかな洗顔料に切り替える。
- ダブル洗顔は、日焼け止めやメイクをした夜だけ。朝や素肌の日は一度の洗顔で十分です。
- 熱いお湯ではなく、ぬるま湯で洗う。
よくある質問
参考文献
- Ananthapadmanabhan KP, Moore DJ, Subramanyan K, Misra M, Meyer F. (2004). "Cleansing without compromise: the impact of cleansers on the skin barrier and the technology of mild cleansing." Dermatologic Therapy, 17(Suppl 1), 16–25. (PMID 14728695)
- Lambers H, Piessens S, Bloem A, Pronk H, Finkel P. (2006). "Natural skin surface pH is on average below 5, which is beneficial for its resident flora." International Journal of Cosmetic Science, 28(5), 359–370. (PMID 18489300)
この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断・治療に代わるものではありません。