保湿・バリア機能

アクティブ成分は重ねるほど効かない? pHと相乗効果の科学

アクティブ成分を別々に重ねると、互いの働きを静かに打ち消し合うことがあります。pHと相乗効果がどの成分どうしを支え合わせるのか、そして一つの処方のほうが多くを果たせる理由を。

アクティブ成分を一本にまとめるのは、成分ごとに働きやすいpHが違い、一つの処方のなかでpHと比率を合わせてこそ互いを生かせるからです。新しいアクティブ成分を足す前に、いま使っているものが酸性寄りか中性寄りかを確かめてください。よい成分をもう一つ足すと肌のためになる気がして、ビタミンCの美容液(セラム)に酸性の化粧水(トナー)やナイアシンアミドのエッセンスを重ねていきます。ただ、アクティブ成分は同じ場所で出会うと、互いを引き上げることもあれば、打ち消し合うこともあります。

アクティブ成分には、それぞれ働けるpHがある

肌の表面は、もともとやや酸性です。前腕の内側では、洗浄や化粧品を控えた自然な状態のpHは平均およそ4.7と推定されました(Lambers et al., 2006)。アクティブ成分にも、それぞれ最もよく働けるpHの幅があります。

  • ビタミンC(L-アスコルビン酸):pH3.5未満に調整しないと肌の中に入らないことが、ブタの皮膚で確かめられています(Pinnell et al., 2001; Telang, 2013)。効果を狙った純粋なビタミンC処方が強い酸性に寄りがちなのは、このためです。
  • ヒドロキシ酸(グリコール酸・乳酸・サリチル酸):遊離酸の形で働き、その割合はpHが下がるほど増えます(Kornhauser et al., 2010)。pHを上げれば穏やかになりますが、働きも弱まります。
  • ナイアシンアミド:おおむね中性付近、pH5〜7あたりで最も安定するとされています。

重ねると、打ち消し合ってしまう理由

強い酸性のビタミンCの上に中性に近い製品をそのまま重ねると、肌の上のpHがずれ、どちらかの成分が働ける幅から外れやすいとされています。ビタミンCは空気と光に弱く、酸化して褐色に変わります。組み合わせによっては濁ったり、沈殿したりもします。アクティブ成分は一層足すたびに、一定に保つべき変数が一つ増えます。

いま使っている製品が実際にぶつかり合っていないか確かめたいときは、美容液の相性セルフチェックが役に立ちます。

一緒にいるときにこそ、互いを守り合うアクティブ成分もある

その代表が、ビタミンCとビタミンE、そしてフェルラ酸の組み合わせです。ビタミンC・Eの溶液にフェルラ酸を加えると、ブタの皮膚で日光に対する保護が2倍になりました(Lin et al., 2005)。フェルラ酸を加えると2つのビタミンが化学的により安定し、日光に対する保護はおよそ4倍から8倍に上がりました。ただしこれは3つを1つの溶液に収めた結果で、別々の製品として順番に重ねる条件は試されていません。

ボトルが実際にしていること

処方者は緩衝剤でpHを定め、成分どうしの比率を決め、キレート剤やフェルラ酸といった安定化剤を加えます。ビタミンCとナイアシンアミドを一緒に置かないほうがよいという古い注意も、熱をかけた条件下で見られた現象にさかのぼるとされています。きちんと緩衝された処方のなかでは、2つが一緒に配合されることも少なくありません。アクティブ成分を一本にまとめるのは、pHと比率と安定性を1つの処方のなかで合わせるための化学的な選択です。

まとめると、アクティブ成分は少なく、合ったpHで

アクティブ成分はそれぞれ働きやすいpHが違い、肌の表面ももともとpH5を下回る弱酸性です(Lambers et al., 2006)。フェルラ酸の相乗効果も、3つを1つの溶液に収めたときに確かめられたものです(Lin et al., 2005)。本数を重ねることより、合う成分をいくつか、合うpHで使う正確さが大切です。アクティブ成分を増やすより、酸性の製品と中性の製品を朝と夜に分けるか、まとめて配合された一本に絞ってみてください。

今日できること

  • 新しいアクティブ成分を足す前に、いま使っているものが酸性寄りか中性寄りかを確かめてください。ビタミンCはpH3.5未満でないと肌に入らないため、純粋なビタミンC製品はふつう強い酸性です(Pinnell et al., 2001)。pHは製品の説明やメーカーの案内で確かめられることがあります。酸性と中性の製品を続けて塗ってしみるなら朝と夜に分け、しみる感じが数日以上続くなら皮膚科を受診してください。
  • 別々のアクティブ成分を重ねているなら、まとめて配合された一本に絞ってみてください。ビタミンC・Eとフェルラ酸の相乗効果は、3つを1つの溶液に収めた条件で確かめられています(Lin et al., 2005)。絞ったあと、塗るときのしみる感じやべたつきが減ったかを見てください。赤みが引かない場合は皮膚科を受診してください。
  • 新しいアクティブ成分は一度に1つずつ取り入れてください。1つずつ取り入れるのはよく使われる方法で、試験で確かめられたものではありません。足してから数日、しみる感じ・赤み・小さなブツブツが新たに出ないかを見てください。じゅくじゅくしたり腫れたりしたら、その製品をやめて皮膚科を受診してください。

足し続けなくてよい理由については、10ステップのケアが必要ではない理由をご覧ください。

よくある質問

ビタミンCとナイアシンアミドは一緒に使えないのですか?
2つを一緒に使えないという心配は、熱をかけた条件下で見られた現象にさかのぼるとされています。得意とするpHの幅は違いますが、きちんと緩衝された一つの処方のなかでなら、一緒に使われることは珍しくありません。別々の製品を続けて塗る場合は、先の一本がなじむまで少し時間をおくと安心です。
ビタミンCの美容液は、なぜあんなに酸性なのですか?
L-アスコルビン酸は、pH3.5未満に調整しないと肌の中に入らないことが、ブタの皮膚で確かめられています(Pinnell et al., 2001)。そのため、角層を越えることを前提に設計された純粋なビタミンC処方は、強い酸性に寄りがちなのです。
アクティブ成分は別々に買って重ねたほうが効果的ではありませんか?
製品を一つ足すごとに、pHのぶつかり合いから酸化まで、それぞれの変数が持ち込まれます。ビタミンCとE、フェルラ酸のような相乗効果は、3つを1つの溶液に収めた条件で確かめられたものです。ですから、よくつくられた一本のほうが安定した選択になることが多いのです。
酸性の製品と中性の製品は、どう併用すればよいですか?
まず一方を塗り、なじんで落ち着くまで時間をおいてからもう一方を使う。あるいは朝と夜に分ける。いちばん簡単なのは、はじめから両方を収めるように設計された一つの処方を選ぶことです。

参考文献

  1. Pinnell, S.R., Yang, H., Omar, M., et al. (2001). "Topical L-ascorbic acid: percutaneous absorption studies." Dermatologic Surgery, 27(2), 137–142.
  2. Telang, P.S. (2013). "Vitamin C in dermatology." Indian Dermatology Online Journal, 4(2), 143–146.
  3. Lin, F.H., Lin, J.Y., Gupta, R.D., et al. (2005). "Ferulic acid stabilizes a solution of vitamins C and E and doubles its photoprotection of skin." Journal of Investigative Dermatology, 125(4), 826–832.
  4. Lambers, H., Piessens, S., Bloem, A., et al. (2006). "Natural skin surface pH is on average below 5, which is beneficial for its resident flora." International Journal of Cosmetic Science, 28(5), 359–370.
  5. Kornhauser, A., Coelho, S.G., Hearing, V.J. (2010). "Applications of hydroxy acids: classification, mechanisms, and photoactivity." Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology, 3, 135–142.

この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断・治療に代わるものではありません。

Naeun Kim

Naeun Kim

創業者・韓国MFDS認定 オーダーメイド化粧品調製管理士

始まりは、選ぶ成分を間違えて自分の肌を崩してしまったことでした。そこから肌が落ち着いていく過程で学んだことをもとに、肌バリアのケアを中心に据えて、自分の手で調製し、設計しています。足りないものを埋めて別の肌にするのではなく、あなたなりの最適点で、肌がもともと持つ働きを目覚めさせる一本をつくります。

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