保湿・バリア機能
季節の変わり目のたびに肌が荒れるのはなぜ?
季節の変わり目に赤み・粉ふき・吹き出物が出るのは、湿度が下がって水分が逃げやすくなり、バリア機能がゆらぐから。こすり落とすのではなく、刺激を抑えてバリアを満たすケアへ。
季節の変わり目のたびに肌が荒れるのは、空気の湿度が下がり、バリア機能がゆらぐからです。季節が移り変わって空気が乾くと、肌から水分が逃げるスピードが速まり(経表皮水分蒸散量(TEWL)の上昇)、バリアをかたちづくる脂質と角層がともに弱まります(Engebretsen et al., 2016)。薄く、外気にさらされやすい部分から、赤み・粉ふき・つっぱり感が出て、吹き出物ができることもあります。ここで必要なのは、強い角質ケアやブライトニングではなく、刺激をやわらげ、バリアを守り、水分を満たすことです。
季節の変わり目になるたび、いつも使っていたものが急に合わなくなったように感じて、何を足せばいいのか迷ってしまいます。けれど、その原因は肌が弱いことよりも、環境が急に変わったことにあります。
季節の変わり目に肌がゆらぐのはなぜ?
季節が変わると、空気中の湿度は一気に下がります。湿度が下がると、肌と空気のあいだの水分の差が大きくなり、肌から水分が逃げるスピードが速まります。バリアを支える脂質と角層はともに弱まり、肌には赤みや粉ふきがあらわれます(Engebretsen et al., 2016)。ヒト三次元表皮モデルを用いた研究では、短時間の低湿度環境でも水分の蒸散が増え、角層をつなぎとめるフィラグリンなどのタンパク質が減少することが示されています。(Izutsu-Matsumoto et al., 2025)頬のように皮膚が薄く、皮脂の少ない部分から、その変化はあらわれます。
赤み、つっぱり、さらに吹き出物まで起きるのはなぜ?
バリア機能が弱まったときのサインは、ひとつではありません。水分が逃げて肌はつっぱり、薄くなった部分には赤みが出て、粉がふきます。同時に、乾燥を補おうとして皮脂の分泌が増え、これまで出なかったところに吹き出物ができることもあるといわれています。水分がどのように逃げていくのかはTEWLとは何かを、弱まったバリアが戻るまでの期間はバリア機能の回復にかかる時間をご覧ください。季節の変わり目の肌は、壊れているのではありません。急に変わった環境に合わせている途中なのです。
粉ふきは、こすり落とすべき?
肌が粉をふくと、つい落としたくなります。けれど、季節の変わり目の粉ふきは汚れではなく、バリア機能が弱まっているサインです。こすったり、強い酸(ビタミンC、AHA、BHA)を重ねたりすると、すでに弱まっているバリアに刺激が重なり、赤みも粉ふきも強くなることがあります。この時期は、強い角質ケアとブライトニングをいったん休み、まずはやさしい洗浄料に切り替えてください。
季節の変わり目は、どうケアすればいい?
目指すのは、足し算ではなく引き算です。強い角質ケアとブライトニングをしばらくゆるめ、やさしい洗浄料に切り替えましょう。そのうえで、セラミドやパンテノール(保湿成分)といったバリア成分で水分を満たし、日中は日焼け止めを塗りましょう。室内の空気が乾いているなら、加湿器で湿度を上げるのも助けになるかもしれません。バリア成分と鎮静成分がどう組み合わさるのかはパンテノールとナイアシンアミドをご覧ください。季節の変わり目のケアは、新しい何かを足すことではなく、刺激をやわらげ、バリアを満たすことです。
無理に押し切るか、バリアを守るか
季節の変わり目の赤みや粉ふきは、湿度が下がってバリア機能がゆらいだ結果で、急な環境の変化に肌が合わせようとしているサインです。低い湿度と低い気温は、肌のバリア機能を低下させます(Engebretsen et al., 2016)。季節の変わり目は、強くこするより、刺激をやわらげてバリアの材料を満たしましょう。このケアでどれくらい早く落ち着くかを、試験で確かめたわけではありません。
今日の一歩
- 赤みや粉ふきがあるときは、スクラブと強い酸(ビタミンC、グリコール酸、乳酸、サリチル酸)をしばらく休みましょう。休んだときにどれくらい早く落ち着くかを、試験で確かめたわけではありません。やめた日を書きとめ、3日後の洗顔直後のつっぱりとヒリヒリ感が軽くなっているかを見てください。2週間たっても赤みが変わらなければ、皮膚科を受診してください。
- やさしい洗浄料に切り替え、セラミドとパンテノールの保湿剤でバリア機能を満たしましょう。季節の変わり目の肌でこの組み合わせを試験で確かめたわけではありません。バリア機能が戻るあいだは製品を替えず、同じ組み合わせを続けてください。塗ったあと指先でふれてつっぱりが残っていないか確かめ、塗ったところがヒリヒリしたり赤みが強くなったりしたら、すぐにやめてください。
- 日中は日焼け止めを塗り、室内が乾いているなら加湿器で湿度を上げましょう。低い湿度は肌のバリア機能を低下させます(Engebretsen et al., 2016)。湿度計で室内の湿度を確かめ、朝起きたときの頬のつっぱりが軽いかを見てください。つっぱりや赤みが続くときは、皮膚科を受診してください。
よくある質問
参考文献
- Engebretsen KA, et al. (2016). "The effect of environmental humidity and temperature on skin barrier function and dermatitis." Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology, 30(2), 223–249.
- Izutsu-Matsumoto Y, et al. (2025). "Effect of low humidity on the barrier functions of keratinocytes in a reconstructed human epidermal model." International Journal of Cosmetic Science, 47, 523–534.
この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断・治療に代わるものではありません。