保湿・バリア機能
角質を取りすぎた肌は、どう回復させる?
角質の取りすぎで、ヒリヒリしてつっぱる。答えはアイテムを足すことではなく、止めることです。バリア機能を回復させる4つのステップと、現実的な期間の目安。
角質を取りすぎて、肌がヒリヒリする、つっぱる、ニキビが出た。いま必要なのは、もっと良いアイテムではなく「休むこと」です。酸(AHA・BHA)もスクラブもレチノールもいったん手放して、ヒリヒリとつっぱりが落ち着くまでは、次の3つだけを続けてください。やさしい洗顔、バリア脂質(セラミド・コレステロール・脂肪酸)を補う保湿、そして紫外線対策。刺激をやめれば、バリア機能は自力で回復していくとされています。
肌が荒れると、鎮静系の美容液(セラム)を上から足したくなります。けれど、バリア機能が疲れているときに必要なのは「足すこと」ではなく「減らすこと」です。
角質を取りすぎたら、まず何をやめればいい?
ヒリヒリ・ピリピリする、薄く透けるような赤みが出る、ずっと使ってきたアイテムが急にしみる、表面はテカるのに内側はつっぱる。これらが重なっているなら、取りすぎてしまったサインかもしれません。刺激の強い界面活性剤や酸が角層の脂質とタンパク質を奪うと、バリア機能が弱まり、こうした刺激感や乾燥があとに続きます(Ananthapadmanabhan, 2004)。
角質を取りすぎたときは、酸、スクラブ、レチノール、アルコール入りの化粧水(トナー)をすべていったん休んでください。角層が自分のペースで整い直すための時間をつくるためです。いまは、何も足さないことがいちばん積極的なケアです。
落ち着くまで、どう洗ってどう保湿する?
落ち着くまでは、低刺激のマイルドな洗顔料を使ってぬるま湯で短時間で洗い、セラミド・コレステロール・脂肪酸をそろえた保湿アイテムを使ってください。pHの高い洗浄は角層を膨潤させ、脂質のバランスを乱します。肌本来の弱酸性(およそ4.7)に近いやさしい洗顔料のほうが、負担は小さくなります(Ananthapadmanabhan, 2004; Lambers, 2006)。コレステロールを主役にした三つの脂質の組み合わせは、80歳前後の肌でバリアの回復を早めました(Zettersten, 1997)。ナイアシンアミドとパンテノール(保湿成分)は、鎮静とうるおいを添えるとされています。これは新しいアクティブ成分を重ねる作業ではなく、バリアに材料を返す作業です。
回復中、なぜ紫外線対策を省かないほうがいい?
バリア機能が弱っているときに紫外線を浴びると、回復が遅れ、跡が残りやすいとされています。回復中は、日中の紫外線対策を毎日欠かさず続けてください。回復にかかる時間はダメージの程度や人によって違い、日数で決めることはできません。数日で変わらなくても焦らず、ヒリヒリとつっぱりがやわらいでくることを最初のサインと考えてください。
まとめ|足すより、減らす
角質の取りすぎは、足りなかったからではなく、やりすぎたから起きます。強い洗浄や酸が角層の脂質とタンパク質を奪ったことが始まりでした(Ananthapadmanabhan, 2004)。回復中は新しい成分を足さず、洗顔・保湿・紫外線対策だけを続けてください。肌はもともと、回復のしかたを知っています。私たちの仕事は、その邪魔をしないことだと考えています。
今日の一歩
- 酸、スクラブ、レチノールをいったん休み、洗顔は低刺激の洗顔料で短時間にしてください。強い洗浄や酸は、角層の脂質とタンパク質を奪います(Ananthapadmanabhan, 2004)。数日のうちにヒリヒリやピリピリがやわらぐかを確かめてください。休んでもヒリヒリが強くなる、じゅくじゅくしてくるといった場合は、皮膚科を受診してください。
- セラミド・コレステロール・脂肪酸を含む保湿に切り替え、日中は日焼け止めを使ってください。三つの脂質をそろえて塗ると、加齢した肌でバリアの回復が速まりました(Zettersten, 1997)。朝晩、つっぱりが減っていくかを確かめてください。数週間たってもつっぱりや赤みが変わらない場合は、皮膚科を受診してください。
- 角質ケアは、ヒリヒリとつっぱりが落ち着き、しばらく安定してから、低い濃度で間をあけて再開してください。再開の時期を試験で確かめたものではありません。再開した翌日にピリピリが戻らないかを確かめてください。戻ったら、もう一度休んでください。
ルーティンをどこまで削ればいいかはスキンケアは何ステップ必要かで、バリア機能が時間をかけて整っていく流れはバリア機能の回復には何週間かかる?で、いま起きているのが刺激なのか一時的な悪化(パージング)なのかはレチノールによる一時的な悪化(パージング)と本当のニキビの見分け方でお話ししています。
よくある質問
参考文献
- Ananthapadmanabhan, K. P., et al. (2004). "Cleansing without compromise: the impact of cleansers on the skin barrier and the technology of mild cleansing." Dermatologic Therapy, 17(Suppl 1), 16–25.
- Zettersten, E. M., et al. (1997). "Optimal ratios of topical stratum corneum lipids improve barrier recovery in chronologically aged skin." Journal of the American Academy of Dermatology, 37(3 Pt 1), 403–408.
- Lambers, H., et al. (2006). "Natural skin surface pH is on average below 5, which is beneficial for its resident flora." International Journal of Cosmetic Science, 28(5), 359–370.
この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断・治療に代わるものではありません。